こんにちは、日本マイクロソフトの Windows サポートチームです。
今回は、Windows 10 の Creators Update (バージョン 1703) でタッチ ディスプレイを複数ご利用いただいている場合に発生する、描画のずれの問題について、その現象と回避方法についてご紹介させていただきます。
– 現象 –
タッチ ディスプレイ(タッチ モニター)を左右または上下に配置し、Windows 10 Creators Update (バージョン 1703) で表示画面を拡張してご利用頂いている場合に、ペイント (mspaint.exe) などのアプリケーション上で指やペンでタッチした位置とは離れた異なる場所に描画されてしまう問題が報告されています。(この問題とは別に、タッチした入力が別のディスプレイ側に送られてしまう現象がありますが、これについては文末の「参考」をご覧ください。)
この現象は、Ink 機能で描画する際に、メインでは無い側のディスプレイでタッチされた座標情報が誤って 2 倍の値に計算されてしまい、アプリケーション上の本来とは異なる位置に描画されてしまうという問題です。(ディスプレイを左右に配置する場合は x 座標が 2 倍に、上下に配置する場合は y 座標が 2 倍になります。)
なお、この現象はマウスを利用する場合は発生せず、ペンやタッチでメニューやその他のデスクトップ上を操作する場合には問題なく、正常に操作できます。
– 発生条件 –
この現象は以下の状況で発生します。
・タッチ ディスプレイを左右に配置して表示画面を拡張し、右側のディスプレイをメインにしている場合
・タッチ ディスプレイを上下に配置して表示画面を拡張し、下側のディスプレイをメインにしている場合
左側(上側)がタッチ対応のディスプレイで、右側(下側)はタッチ非対応のディスプレイでも同様に発生します。
ただし、この現象が発生するのは Windows Inking Service Platform (WISP) と呼ばれる機能を利用するアプリケーションのみです。Windows 10 から導入された DirectInk と呼ばれる機能を利用する比較的新しいアプリケーションでは、この問題は発生しません。
・現象が発生する(WISP を利用する)アプリケーションの例
ペイント(mspaint.exe)、PowerPoint 2013, Excel 2013 など
・現象が発生しない(DirectInk を利用する)アプリケーションの例
Paint 3D、Edge、PowerPoint 2016、Excel 2016 など
– 回避方法 –
タッチ ディスプレイのメインを左側(または上側)に配置することで回避することができます。
1. タスクバーの検索ボックスに “設定” と入力し、[Windows の設定] を開きます。
2. [システム]-[ディスプレイ] を選択します。
3. [ディスプレイ] の設定画面で、以下の図のように左側(上下に配置している場合は上側)を選択します。
4.[ディスプレイ] の設定画面の [複数のディスプレイ] で “これをメイン ディスプレイにする” にチェックを付けます。
– 状況 –
今後リリースを予定している新しい Windows 10 のバージョンで修正を検討しています。
– 参考 –
今回ご紹介したタッチした描画位置がずれるという現象ではなく、(Creators Update に限らず)タッチした入力そのものが別のモニターに送られる場合があります。この場合はコントロールパネルから設定を行うことで解消できます。
1. タスクバーの検索ボックスに control panel と入力し、コントロール パネルを開きます。
2. [ハードウェアとサウンド] – [タブレット PC 設定] をクリックします。
3. [画面] タブの “ペンとタッチ ディスプレイを構成します。” の [セットアップ(S)…] ボタンをクリックします。
4. タッチ ディスプレイに “タッチ スクリーンであることを指定するには、この画面をタッチしてください。” と表示されますので、その画面をタッチし、キーボードの Enter キーを押します。
5. もう一方のタッチ ディスプレイも “タッチ スクリーンであることを指定するには、この画面をタッチしてください。” と表示されますので、その画面をタッチします。