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Unified Write Filter (UWF) 環境での運用を考慮した設定について

こんにちは、Windows プラットフォーム サポートの鎌滝です。

今回は統合書き込みフィルター (Unified Write Filter (UWF)) の環境を運用する場合に、考慮すべき設定についてご紹介します。

Unified Write Filter (UWF) とは Windows 10 にて新しく利用できるようになったディスクへの書き込み処理をメモリ上のオーバーレイという一時領域に行う機能です。 UWF を有効化することで、物理デバイスへの書き込みを少なくすることでデバイスの摩耗を低減したり、再起動ごとに必ず UWF の設定に基づいてオーバーレイ領域のデータを削除 (設定時の状態に戻す) する事で、ユーザーが保存したファイルなどで意図せずディスク容量を使用しないようにする事ができます。 本機能は Windows Embedded (組み込み向け) の機能として実装されておりましたが、Windows 10 でも利用できるようになったことにより、最近では OA PC などの用途にもご利用を検討いただくことが多くなっています。 本機能の概要や設定方法については、以下にブログがございますので、ご参照ください。

統合書き込みフィルター (Unified Write Filter (UWF)) について

上述の通り UWF 環境では、OS 動作中に実施されたオーバーレイ領域への書き込み処理は、すべてシャットダウン時に破棄されます。 次回起動時は UWF を設定したときの状態で起動しますが、 サービスによっては UWF 環境下でも再起動後にも保持されている必要がある情報や、保持されていると利便性が高い情報があります。 そのため、UWF では書き込みフィルターの除外設定を行うことで個別にファイルやフォルダ、レジストリの情報を保持することが可能です。 UWF 環境を運用する際に除外設定や事前に設定を行う必要がある項目についてはいくつか公開情報がございますが、本ブログではそれらの各公開情報をおまとめすると共に、そのほかの留意事項や良くお問合せいただく設定情報についてご紹介いたしますので、UWF 環境の運用を検討する場合に参考にしていただけますと幸いです。

 


公開情報


 

 

 

 


よくあるお問い合わせ


(1) StartComponentCleanup タスクの無効化もしくは除外設定

システム メンテナンスを目的とするタスクのひとつに “StartComponentCleanup” と呼ばれるタスクがあります。 本タスクは不要なドライバーや Windows Update で更新されて使わなくなった古いコンポーネントを削除したり圧縮したりするタスクです。 本タスクが行った書き込み処理も再起動で破棄されるため、再起動ごとに本タスクが実行され、オーバーレイや CPU を消費してしまう事象が報告されております。 Windows Update を定期的に実行いただく運用など、定期的にドライバーのアップデートが実施される環境で本事象が発生します。

対処策: 以下のいずれかの対処により本事象を回避できます。
1. “StartComponentCleanup” タスクの無効化
UWF が無効化された状態で、タスク スケジューラーから、以下のタスクを右クリックで “無効” にした後、再度 UWF を有効化します。

パス: [システムツール] – [タスク スケジューラ] – [タスク スケジューラ ライブラリ] – [Microsoft] – [Windows] – [Servicing]
タスク: StartComponentCleanup

2. “StartComponentCleanup” タスクで利用されるフォルダ・レジストリの除外設定
以下の領域を除外設定に追加します。

// フォルダ

C:\Windows\Winsxs
C:\Windows\servicing

// ログ

C:\Windows\Logs\CBS
C:\Windows\Logs\DISM
C:\Windows\System32\winevt\Logs\Setup.evtx

// レジストリ

HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Component Based Servicing
HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\SideBySide
HKLM\COMPONENTS\CanonicalData
HKLM\COMPONENTS\ccpinterface
HKLM\COMPONENTS\DerivedData
HKLM\COMPONENTS\Drivers
HKLM\COMPONENTS\Installers
HKLM\COMPONENTS\NonCanonicalData
HKLM\COMPONENTS\ServicingStackVersions
HKLM\COMPONENTS\TransformerRollbackData

(2)ドメイン ユーザーのキャッシュ ログオン

ドメイン コントローラーに一時的に接続できない状況が発生する環境など、キャッシュでのログオンが必要な環境では、キャッシュを残せるようレジストリの除外設定が必要です。

対処策:
以下のレジストリを除外設定に追加します。

HKLM\SECURITY\Cache

(3) ディスプレイ設定の保存

最近使用されたトポロジ (複製、拡張など) や解像度、向きなど、ディスプレイの設定は再起動後も残したい環境では、関連するレジストリの除外設定が必要です。

対処策:
以下のレジストリを除外設定に追加します。

HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\GraphicsDrivers\Configuration
HKLM\System\CurrentControlSet\Control\GraphicsDrivers\Connectivity

 


留意事項


また、除外設定を行っている領域に書き込みを行った場合についても、オーバーレイのメモリは利用されます。 詳細は以下のブログで公開しております。 また、イベント ログなど通常運用でも書き込みを行う処理でオーバーレイを消費することは避けられませんので、UWF 環境の運用にあたっては適切な間隔で再起動を行うことをご検討ください。

Windows 10 の統合書き込みフィルター機能 (UWF) で、フィルターの除外設定を行ってもオーバーレイのメモリを消費してしまう

 

なお、UWF 機能として、内部的に既定で除外設定が行われているファイル、フォルダやレジストリもありますが、それらの内部設定は公開されておらず、今後変更される可能性がございます。 本情報は現時点で有用と考えられる除外設定についてまとめました。 本情報がみなさまのお役に立てれば幸いです。


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