こんにちは。Windows プラットフォーム サポートの吉田です。
今回は、Windows Server 2012 (R2 含む) における、標準的なリモート デスクトップ サービス環境の構築手順をご案内いたします。
なお、構築の前提条件といたしまして、対象サーバーが Active Directory に参加している環境としています。
ワークグループ環境での構築につきましては、以下を参照ください。
- Windows Server 2012 リモート デスクトップ環境の構成について
http://blogs.technet.com/b/askcorejp/archive/2012/12/28/windows-server-2012.aspx
また、本稿においては、[セッション ベースのデスクトップ展開] に特化した手順となっており、MS VDI (Virtual Desktop Infrastructure) 環境の構築には言及しておりません。
VDI 環境の構築につきましては、別途公開させていただく予定としています。
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Windows Server 2012 以降においては、リモート デスクトップ サービスおよび RemoteApp アプリケーションを公開するためには、同一ドメイン内に 下記の役割を持つサーバーが必須となっています。
なお、下記の役割は全て一台のサーバーに集約する事が可能です。
- リモート デスクトップ (RD) セッション ホスト
- デスクトップ セッション、RemoteApp プログラムを提供します。 - リモート デスクトップ (RD) 接続ブローカー
- ユーザーからの接続要求および再接続時の割り当てを管理します。 - リモート デスクトップ (RD) Web アクセス
- RD セッション ホスト、RemoteApp プログラムへの接続ポイントを提供する Web ポータルとなります。 - リモート デスクトップ (RD) ライセンス
- RD セッション ホスト、RemoteApp プログラムを使用する際に、ユーザーが接続するのに必要なライセンス (RDS CAL) を管理します。
また、Windows Server 2012 以降においては、リモート デスクトップ サービスおよび RemoteApp を [セッション コレクション] という概念で、管理・公開いたします。
[セッション コレクション] の単位にて、複数台のセッション ホスト サーバーを管理する事が可能となっており、[サーバー マネージャー] 上に展開される [リモート デスクトップ 管理サービス (RDMS)] にて一元管理、設定が可能です。
[セッション ベースのデスクトップ展開] におきましては、以下 2 種類の展開方法があります。
- 標準の展開
- 各役割を、複数、または一台のサーバーに展開する場合に使用します。 - クイック スタート
- 各役割を、一台のサーバーに集約する場合に使用します。
一台のサーバーに展開する場合、[クイック スタート] での展開が簡易ですが、評価環境での構築を意図しているため、一台のサーバーに展開いただく場合においても、[標準の展開] を選択いただく事を推奨いたします。
以下の手順におきましては、[標準の展開] での構成方法をご案内いたします。
<サーバーの追加>
複数台のサーバーに各役割をインストールいただく場合には、接続ブローカーの役割をインストールいただくサーバーにおいて、各サーバーを管理対象としていただく必要があります。
一台のサーバーに全ての役割をインストールする場合には、この手順は必要ありません。
- 左ペイン の [全てのサーバー] 右クリック、[サーバーの追加] 選択します。
- 検索ボタンで、ドメイン内のサーバーを検出し、各役割をインストールするサーバーを選択します。
- [OK] ボタンで完了です。
<役割のインストール>
- 接続ブローカーの役割をインストールいただくサーバーにて、ドメインの administrator でログインし、[サーバー マネージャー] を開き、[管理] - [役割と機能の追加] を選択します。
- [インストールの種類] にて [リモート デスクトップ サービスのインストール] を選択します。
- [展開の種類の選択] にて [標準の展開] を選択します。
- [展開シナリオの選択] にて [セッション ベースのデスクトップ展開] を選択します。
- [役割サービスの確認] 画面が表示されますので、[次へ] を押下します。
- [RD ブローカー サーバーの指定]、[RD Web アクセス サーバーの指定]、[RD セッション ホスト サーバーの指定] のそれぞれにて、インストールいただくサーバーを選択します。
- [選択内容の確認] にて、各役割の選択サーバーに間違いがない事を確認し、[必要に応じてターゲット サーバーを自動的に再起動する] にチェックをいれ [展開] を押下します。
- 各役割のインストールが実行され、RD セッション ホストの役割がインストールされるサーバーにつきましては、再起動が実施されます。
- 再起動完了後、インストールを実施したサーバーの [進行状況の表示] において、すべての役割で [成功] となっていたら、インストール完了です。
< セッション コレクションの作成 >
- サーバー マネージャーにて、左ペインより、[リモートデスクトップ サービス] - [概要] を選択します。
- 右ペインの [展開の概要] にて、RD セッションホスト を右クリックし、[セッション コレクションの作成] を選択します。
- [コレクション名の指定] にて任意のセッション コレクション名を指定します。
- [RD セッション ホスト サーバーの指定] にてサーバー プールから、 セッション コレクションを作成する RD セッション ホスト サーバーを追加します。
- [ユーザー グループの指定] にて利用を許可するユーザーまたはグループを指定します。
- [ユーザー プロファイル ディスクの指定] にてユーザー プロファイルの保存先を指定します。ユーザー プロファイル ディスクを有効にしない設定でも問題ありません。
- [作成] をクリックし、[進行状況の表示] にて全て [成功] となっていたら、セッション コレクション作成完了です。
<セッション コレクションのプロパティ>
- サーバー マネージャーにて、左ペインより、[リモートデスクトップ サービス] - [(コレクション名)] を選択します。
- 右ペインの [プロパティ] の [タスク] - [プロパティの編集] を選択する事で、セッション コレクションの各設定をカスタマイズする事ができます。
- 全般
- ユーザー グループの指定
- セッションの設定の構成
- セキュリティ設定の構成
- 負荷分散の設定の構成
- ユーザー プロファイル ディスクの構成
<RemoteApp アプリケーションの公開>
- サーバー マネージャーにて、左ペインより、[リモートデスクトップ サービス] - [(コレクション名)] を選択します。
- 右ペインの [RemoteApp プログラム] の [タスク] - [RemoteApp プログラムの公開] を選択します。
- RemoteApp プログラムの選択] にて公開したいアプリケーションを選択します。
公開するアプリケーションは、RD セッション ホスト サーバーにインストールされている必要があります。 - [確認] 画面にて公開するアプリケーションを確認し、[公開] をクリックします。
- [完了] 画面にてエラーがない事を確認し、[閉じる] をクリックします。
以上にて、RemoteApp アプリケーションの公開が完了です。
<ライセンス サーバーのインストール>
- サーバー マネージャーにて、左ペインより、[リモートデスクトップ サービス] - [概要] を選択します。
- 右ペインの [展開の概要] にて、[RD ライセンス] の (+) マークをクリックします。
- [サーバーの選択] にて、RD ライセンス の役割をインストールするサーバーを選択します。
- [選択内容の確認] でインストールするサーバーに間違いがない事を確認し、[追加] をクリックします。
- [進行状況の表示] にて [成功] となっていたら、ライセンス サーバーのインストール完了です。
<ライセンス モードの設定>
- サーバー マネージャーにて、左ペインより、[リモートデスクトップ サービス] - [概要] を選択します。
- [展開の概要] から [タスク] - [展開プロパティの編集] を選択します。
- 左ペインより [RD ライセンス] を選択します。
- [接続デバイス数] または [接続ユーザー数] を指定します。
ライセンス サーバーのアクティブ化およびライセンスのインストールにつきましては、Windows Server 2008 R2 と同様となりますので、下記を参照願います。
- リモート デスクトップ ライセンス サーバーをアクティブ化する
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc771547.aspx
- リモート デスクトップ サービス クライアント アクセス ライセンスをインストールする
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc725890.aspx
上記までを実施いただくことで、標準的なリモート デスクトップ サービス環境が構成されます。
なお、Windows Server 2012 以降においては、RemoteApp アプリケーションは RD Web アクセスのポータル サイトからのご利用が標準となっています。
クライアントから、以下の URL にアクセスいただいてご利用ください。
https://(Web アクセス サーバー FQDN 名)/rdweb
例 : https://WebAccess.contoso.com/rdweb